一般社団法人柏崎青年会議所2023年度 理事長所信

柏崎JC2023年度理事長

一般社団法人柏崎青年会議所

第67代 理事長

平川 尚

Takashi Hirakawa

2022年度スローガン

柏崎JC2023年度スローガンロゴ
Vision

円  心を燃やす個があふれエネルギッシュな集団へ

Mission

炎  心を燃やし、炎を伝播させる

Value

演  単年度制の役割を演じることで、個の成長を全体の発展に繋げ社会に還元する

はじめに

私は「白」という色を大切にしています。職業柄、汚れたものを白く綺麗にすることにこだわりを持ち、また白は何にでも染まりやすいという意味で若者を象徴する色でもあります。青年会議所には20歳~40歳の会員が在籍しており、特に30代はよく大人の10代と表現されます。多くの青年がこの学び舎で、ともに活動することで対話が生まれ、多様性を学ぶことができますが、青年会議所活動を通してどんな色が好きなのか、どんな色になりたいのか、人生を歩むうえで自分の生きる色について考えさせてくれ、挑戦させてくれるのが私のJC感です。

青年会議所は単年度制という特殊な組織です。毎年様々な役割を経験するからこそ自分の新たな強みの発見や、強みをより伸ばすことができます。中には得意分野でない経験をすることもありますが、与えられた役割を自分のリーダー像をもって演じ切ることで新しい自分に出会える経験ができ、個の成長へ繋げることができます。様々な経験をすることで、おもしろい、好き、熱くなりたい、そのような心を燃やせるものに出会えるはずです。その炎は仲間に伝播し、地域に伝播していくはずです。仲間の心にいかに燃やせるものを見つけてあげる機会を提供できるか、これが我々青年会議所に求められていることかと思います。人一人でできることはたかが知れていますが、同じビジョンに向かい、円のように手をとりあうことで、結果は10にも100にもなります。心を燃やした個があふれた集団はエネルギッシュで強く、地域の人や他団体も巻き込んでいく運動を起こせるはずです。地域一体に仲間意識を醸成し、みんなで明るい豊かな社会を作っていこう。

歴史に感謝し持続可能なエネルギーのまちへ

柏崎は石油産業で発展したまちで、歴史を遡れば海と山に囲まれ、交通網が発達していなかったことから、陸の孤島と呼ばれていました。そのようななか、我々の先輩諸氏は「明るい豊かな社会」の実現のため、エネルギーの勉強や原子力に反対の立場の方との対話を重ね、国策であるエネルギー政策に貢献しつつ地域を発展させる方法として、1971年に柏崎刈羽原子力発電所の建設推進決議を行い、誘致、建設、稼働を経て日本経済を下支えしてきました。

しかしながら2011年の東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故を機に原子力に対する見方が大きく変わり、原子力は不要との世論が強くなりました。一方で、様々な資源を他国に頼っている日本ではロシアによるウクライナ侵攻により電気代やガソリン、物価の上昇が続いています。いまだエネルギー自給率の向上ができていない現状、そして資源を他国に依存していることは危険な状況といえます。

昨今、政府は「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルの実現を目指す」ことを宣言しており、柏崎市では地域エネルギー会社が設立され、市内でも再生可能エネルギーへの機運がさらに高まっていると言えます。米大手IT企業は2030年までにサプライチェーンのカーボンニュートラル100%達成を表明しており、このような傾向は今後も拡大していくことが考えられます。企業経営においても従来の財務情報だけではなく、ESG(環境・社会・ガバナンス)の3つの観点が必要だという考え方がかなり普及していくことが予測され、事業者として環境に配慮した経営を実行しなければいずれ淘汰されることを意味しています。

このようにエネルギー・環境問題が多様化していくなかで、原子力においても「必要」「不要」という二択ではなく、リスクをしっかりと理解しながらも最大限安全を確保したうえで経済を回していくという柔軟な考えが大切です。エネルギーのまちに生きる青年経済人として恥じないエネルギーリテラシーの強化を行い、刻一刻と変わる情勢の中、原子力発電をはじめ、再生可能なエネルギーやクリーンエネルギー等について議論してまいります。

加えて、柏崎刈羽地域が持続可能であるために事業者としてよりカーボンニュートラルを意識した企業経営を学び実践する1年とします。

持続可能なまちづくりのために

地方都市は少子高齢化や労働力の不足、税収の確保など様々な課題があります。特に少子高齢化は深刻です。かつて柏崎は15万人都市構想を掲げた時代もありましたが、2022年には人口8万人を切ってしまい、このまま人口減少に歯止めがかからなければ2060年には半数の4万人都市になるとも言われております。人が減れば、消費が減り、消費が減ればこの地域で商売を営む売上も減り、売上が減れば存続できない事業者も増え、働き手や地域の産業も縮小傾向になり、もちろんまちとしての機能も魅力も低下するという負のサイクルが生まれます

そのような背景のなか、持続可能なまち柏崎刈羽を次世代に残すためには、移住や定住を促進していくことが必須だと考えます。若い世代からIターンとして選ばれる魅力作りやUターンしやすい環境作りなど、柏崎の魅力を発見し作り育て、対象となる層に発信して伝えていかなければなりません。

では我が柏崎刈羽の魅力とは何でしょうか。まずは海と山が近く四季を身近に楽しめることです。夏はマリンスポーツが盛んで、毎年7月26日には柏崎の代名詞である海の大花火大会が開催され、観光による税収確保の一役も担っています。春や秋はおだやかで、登山や紅葉、山菜を楽しむ人も多く自然の豊かさを感じます。冬は雪国らしく子どもたちとウィンタースポーツを楽しみます。四季を感じることは余暇の過ごし方を華やかにしてくれます。

また水がきれいなところも魅力です。飲み水がおいしいのはもちろんですが、水がおいしい土地だからこそ、米作りを中心とした農業などの一次産業、酒作りを中心とした二次産業、最終消費者に届ける地元食材を使った飲食店のような三次産業などが発展してきました。首都圏では水や空気が合わず体調を崩す方も多くいるなかで、水のきれいさは自然の豊かさの象徴であり、生活の基礎となる地域の魅力です。派手さはなくとも生活の基礎となる地域の魅力は持久力のある地域資源であり、これらの最高の食・住環境は移住や定住の際に必ず役立つ武器となります。

しかし移住に何より大切なのは魅力あふれる人・まちとのご縁をつくることだと考えます。このまちと繋がるきっかけやネットワークさえ出来れば、そのネットワークはどんどん太くなっていくはずです。また移り住んだ方に定住してもらうためにも必要なのは人とのネットワークです。溶け込みやすいコミュニティに繋げてあげることで人間関係をより強固にでき、相乗効果を生み出し、そこにはさらに人が集まります。

次世代に魅力あふれ住みやすいまちを残すため今移住・定住問題に本気で向かい合います。

親子の絆を強固にまちの宝を育てる

私は4人の子どもを持つ父親です。私は柏崎で生まれ育ち、県外に出て経験を積み、柏崎にUターンをしてきました。友達と遊んだ柏崎、クラブ活動で青春を過ごした柏崎、ときには辛く失敗もした柏崎、色々なことを教えてくれた柏崎、大好きな柏崎に帰ってきて10年が経過しました。柏崎で生活をする大人として、自分の子どもには生まれ育ったまち柏崎をずっと好きでいてもらいたい、心からそう願います。

私が子どもの頃は、祖父、祖母、父、母、弟の6人の家族構成で育ちました。両親が仕事のときは祖父母に遊んでもらい、ご近所とも風通しが良くお互いをよく知っており、悪いことをすれば当然のように怒られました。学校では友達と遊び、放課後はクラブ活動などのスポーツを通じて仲間と一緒に青春を味わうなど、まさに地域全体に育ててもらったなと感じます。最近は夫婦共働きにより親が子どもとの時間を作ることが難しくなってきております。足りない部分を祖父母や地域のコミュニティがカバーすることで、色々な教育が行き届いておりましたが、核家族化や地域のコミュニティの希薄化により地域全体で子どもを育てる風土が減り、親の負担が大きくなってきております。結果、学校に教育を求めますが、教員の仕事量も多く学校側も疲弊してきているように感じます。このような環境で育つ子どもたちは勉強以外に地域から学ぶ機会が減っており、自律性がなく自分で考えることができない、社会性がない、多様性が育まれない、地域に愛着をもってくれない、そんな大人になってしまうことを危惧します。

しかし我々にはできることがあります。それは親子の絆を深めることです。親子の絆を深く感じながら育った子どもは、心や人間力が育ち、自己肯定感が高まり色々なものごとにチャレンジできる精神が身に付くとされています。

また良い親子関係で育った子どもは生まれ育った地元を好きでいてくれます。育くまれた郷土愛は柏崎をより良くしたいという思想を与えてくれます。親子の絆という最大の繫がりを強固にすることで、人財の地産地消により柏崎の魅力をより高めることに繋がります。大学や社会人と一時柏崎を離れることがあるかもしれませんが、外の目をみることは重要な経験や学びとなります。その他にも首都圏の生活で人間関係に疲れることもあるでしょう。そんなときに帰りたいと思える場所がある、それが地元という優しさであり、親子の絆がUターンのきっかけにもなります。子どもはまちの宝です。原石を磨き、愛情あふれる柏崎を作ります。

熱量と仕組み化で持続可能な拡大運動へ

1983年108名いた会員は昨今の少子高齢化・人口減少に伴い60名を下回っているのが現状です。会員数の減少は事業規模の低下、多様性の消失にともなう学びの減少、そしてもっとも危惧するのは熱量の低下であります。熱量がなければ何事も運動として広がりを作っていくことはできません。また会員が成長を続けていくには、個性に富んだ多くの会員がいることで多様性を学ぶ環境があり、会員を増や続けていくことが必要です。

つまり会員数を増やしながら、会員の熱量をあげていく、両輪を回していかないと熱量を持続可能にしていくことはできません。

しかし青年会議所は単年度制という仕組みで運営が行われています。様々な役割を経験することで学びを深めることがメリットでありますが、一方で当年の入会者数という結果は担当委員長の能力に依存している部分が否めません。会員減少傾向の中、年間を通して事業を行いながら、会員拡大運動を行い、会員数を増やし、会員に対してモチベートして熱量を高めていく仕事量は多く、決して持続可能であるとは言い切れません。

持続可能な運動のために、熱量をもって同士を獲得していく他にも、会員を増やし続けるための仕組み化ができれば、効率の良い運営が可能となります。私は2020年に会員を募集する担当委員長を務めさせていただきましたが、多くの仲間が会員獲得のために動いていただき効率の良い活動ができました。熱量と仕組み化をテーマに全会員が会員獲得のため動いてもらう風土作りを推し進めていきます。

加えて、特に新入会員や出席率が低い会員に対してのモチベートも重要です。JCの理念と個人の人生理念と重なる交点を見つけ出し、JC活動が自己実現の延長上にあることを気づかせてあげる必要があります。JCの修練・奉仕・友情の三信条をもとに自分なりの炎に気づかせ、育て、周りにも伝播させ、柏崎を熱くしたい柏熱したい人財へと成長させることが必要です。そんな地域にインパクトを与えられる起点となる人財へと成長してもらいたいと心から願います。

縮小時代の生存戦略

昭和・平成の時代は人口増加に伴い、様々な業種が成長し続けた時代でした。しかし近年では少子高齢化や人口減少、特に生産年齢人口の減少に歯止めがかからず、後継者不足や人材不足といった危機が着々と迫ってきております。これまでの人口が拡大していたときと同じ手法ではこの縮小の時代を生き抜いていくことは不可能です。

人口減少の問題は国家レベルの大きな問題であり、すぐに人口増加に転じさせることは現実的に難しいと考えます。それならば、少ない資本で最大の成果を得る組織の効率化と、新しい事業価値を創造し消費を増やすことが求められます。

手法としてはIoT(製品がインターネットと繋がることで情報交換ができるようになること)・AI(人口知能)・DX(ITを活用することでビジネスモデルを変革し企業の優位性を確立しようとする取り組み)など、これらを取り入れていく必要があり、最近ではサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させた社会の実現が新しい事業価値の創造を生むとも注目されています。

しかしまだまだ普及途上のなかで、これらの技術を導入し駆使するには、一定以上の知識が求められ、変化が目まぐるしい現代で日々アップデートされる情報を取り入れていかなければいかずハードルが高いことも事実です。

よって様々な組織間で連携していくことも必要です。各組織にはそれぞれ設立に至るまでの経緯や目的・理念、長所があります。何らかの運動を行う際にも組織自体の能力や会員の能力がその運動の成功のカギを握っていると言えます。各組織間で連携することで、無駄を省いた効率の良い運営の実現や、より価値が高まるアイディアの創出、連携をすることでより地域にインパクトを与える運動を行うことができるはずです。

また今年は5委員会構成とさせていただきました。目的は異なりますが、各々異なる行動をしていては正に無理・無駄が発生し非効率な部分が生じます。まずは各委員会の相互理解を図り強固な円を作ります。持続可能な組織運営としていくためにはハブ的役割や各委員会の後方支援が必要です。

今年度は、内部と外部における関係各組織との連携を図る礎となる1年とします。

結びに

明るい豊かな社会の実現のため、戦後に青年会議所運動が始まり、現在にも熱い想いや素晴らしい仕組みが脈々と引き継がれております。先輩諸氏が熱い情熱と強い決意のもと青年会議所運動の礎を築いてくださったことは我々現役メンバーの誇りです。今活動できていることは決して当たり前ではないことを深く胸に刻み、必ず次世代に伝え引き継いでいきます。

私は柏崎青年会議所に入会し6年目を迎えますが、今年ご縁をいただき理事長職をお預かりいたします。一つの節目として人生を振り返ると、青年会議所での5年はとても濃く、様々な人とのご縁や繫がり、活動を経験させていただきました。この場をお借りし、今まで関わっていただいたすべての方へ感謝を申し上げます。特に家族・従業員・友人・JCメンバーなど多くの方の支えがあり現在もJC活動ができていることに感謝をし、今年訪れるご縁をチャンスとして自身の成長に繋げる一年といたします。また今年1年の柏崎青年会議所の活動から生み出すご縁が、会員全員の人生を飛躍させる1年になることを祈念し理事長所信といたします。